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一方的な脱炭素化は元が取れるか?

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というNBER論文が上がっているungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Does Unilateral Decarbonization Pay For Itself?」で、著者はAdrien Bilalスタンフォード大)、Diego R. Känzig(ノースウエスタン大)。
以下はその要旨。

This paper shows that unilateral decarbonization pays for itself in large economies. We estimate economic damages from global temperature shocks and combine them with a climate-economy model to construct Domestic Costs of Carbon: $226 per ton for the United States and $216 per ton for the European Union. When compared to marginal abatement costs, these values imply over 80% unilateral decarbonization for both economies, an order of magnitude larger than under conventional damages estimated based on local temperature.
(拙訳)
本稿は、大規模経済における一方的な脱炭素化は元が取れることを示す。我々は、世界的な気温ショックによる経済的損害を推計し、それを気候経済モデルと組み合わせて炭素の国内コストを導き出した。米国ではトン当たり226ドル、欧州連合ではトン当たり216ドルである。限界的な炭素削減費用と比べると、これらの数値は両経済について8割以上の一方的な脱炭素化を意味するが、それは地域の気温に基づく従来の損害推計より1桁大きい。

以下は論文の図。現在の技術では、限界費用曲線において電力生産と輸送の部分的なグリーン化の限界の炭素削減効果は既にゼロとなっており、さらなる炭素削減のためには他の技術を組み合わせる必要があるが、そのため費用はどんどん上昇し、直接空気回収技術まで駆り出すと費用はトン当たり240ドルを超える。
その曲線において、今回の推計は、米欧それぞれについて経済の86%と84%を脱炭素化することが費用便益分析においてコスト効率的であることが示される。一方、地域の気温ショックに基づく従来の推計は米欧それぞれについてトン当たり22ドルと28ドルである。気候変動による損害が無い場合の脱炭素化は23%なので、今回の推計では元が取れる追加的な脱炭素化が米欧それぞれについて63%ポイントと61%ポイントであるのに対し、従来の推計ではそれぞれ7%ポイントと9%ポイントに留まるとの由。


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